薪ストーブの歴史をひもとく Part Ⅰ

1742年、フランクリンがオープンストーブを

発明した!!

防寒や調理の目的で火は古来より人の生活に欠かせない存在でした。焚火が発達し、屋内でも火が焚けるようにしたものが囲炉裏ですが、煙の出口がなかったため、後にフードと煙突の付いた囲炉裏が考案されました。囲炉裏は室内に熱を放出する為、熱効率は優れてますが部屋の中に煙が充満します。そこでそれを元に囲炉裏を壁の中に埋め込んだ暖炉(マントルピース)が発明された。

アメリカでは移民がヨーロッパ風の暖炉を持ち込み、家庭で使っていたが従来の暖炉は煙と共に熱まで外に放出するため暖房効率が低く燃料を大量に費しました。

しかし、政治家、発明家として知られるベンジャミン・フランクリンが暖炉の暖房効率を改善するため新しい空気が入ってきた時に温まる仕掛けのストーブを開発しました。

これまでの暖房器具よりも暖かい上に燃料が少なくて節約になる前面以外の5面を鉄板で囲ったフランクリン・ストーブ(ペンシルバニア暖炉)を発明した。バッフル板が装着されたこのストーブは暖房効率が高く好評で、多くのメーカーから同様の暖炉が販売され主流となりました。後にフランクリンストーブは改良により現在の薪ストーブのように扉が付けられたのです。それこそが現在の薪ストーブの由来です。

アメリカではその後、一旦は石炭・石油の発達により、薪ストーブの人気は下降したが、石油危機をきっかけに復活、その後環境に関する法制定で二重燃焼システムや触媒など燃焼効率を高めた機種が開発されました。 その他、紀元前の中国では煙突付きの青銅製のストーブがすでに存在していた事が知られています。

このフランクリンのストーブは既存のあらゆる暖房器具よりも優れておりこれまでのストーブの欠点はすべて改善されたと謳っている。

==ここで心を打たれたのはフランクリンの考えです==

「この世にある発明品や作品は、必ずといって良いほど誰かからの影響を受けたものであり、全く新しい物など無い」という言葉です。

1856年国産初ストーブ「カッヘル」が誕生しました。

開港から2年後の1856(安政3)年、箱館奉行が国内ではじめて、ストーブを製作しました。

函館が、日本における「ストーブ発祥の地」。これは、箱館奉行が当時北方警備のために宗谷や樺太(現サハリン)へ配属された役人の防寒対策に作られたもので、設計を担当したのは史跡「五稜郭」の設計者でもある武田斐三郎でした。

箱館の港に停泊していた英国船のストーブが、その手本となりました。このストーブをきっかけに北海道では一般的にストープが使用されることが奨励され、開拓民の厳しい冬の暮らしを温め続けたそうです。

日本では古くから、コタツや火鉢が一般的に普及していたようです。火鉢は平安時代の絵巻や 「枕草子」などにも登場しています。

一方、ストー ブは西欧で “暖炉” から発展し、日本へは江戸時代にドイツや北欧で発達した “カッヘル・オーフェン” が “置き暖炉” として紹介されたといわれています。当時はカッヘル(kachel/オランダ語で 石炭ストーブの意味)とかカッペル、クワヒルなどと呼ばれていたようです。

当時のストーブは鉄板や鋳物製で、燃料は主にか石炭でした。ガスストーブが日本に輸入さ れたのは明治33(1900)年前後のことでしたが、 当時はガスの供給が不十分だったため、ごく一部でしか使用されていなかったようです。明治末期には 電気ストーブが登場し、大正初期には国産品も作られましたが、この頃は電気料金が高く、庶民には手の届かないものでした。

  【薪ストーブの進化】

明治時代になると、開拓使により一般家庭でもストーブの使用が奨励されました。このころのストーブは、各地で原野を開墾していたため、どこでも簡単に手に入ったを燃料にしたブリキ製の薪ストーブでした。
その後、開拓が進み都市部で薪の入手が困難になると同時に、炭鉱の開発が進んだため、石炭ストーブが使われはじめます。ダルマストーブ、ズンドウストーブなど、「投げ込み式(燃料の石炭がなくなるごとに投げ入れる)石炭ストーブ」が現れました。また、泥炭地では地面から掘った泥炭を乾かして燃料にした「泥炭ストーブ」も使われました。

=ホボウストーブ=

ホボウストーブ(ホーボーストーブ)とは、大型の缶の蓋を取り除き、側面に幾つかの空気穴を開けただけの簡素な薪ストーブである。歴史的にはアメリカのホーボーと呼ばれる出稼ぎ労働者が用いていたためにこの名が付いている。が、バックパッカーにも広く用いられた。缶だけでなく、筒状の金属であればどのような材料でも製作できるが、日本では一斗缶やペール缶を用いて製作される事が多かったです。

ホボウクッカーはホーボー、放浪者、ホームレス、およびバックパッカーに使用される簡単な造りの焜炉である。 元々は空き缶で製作された木を燃料とする即席の調理ストーブで熱効率を考慮し、調理も可能なように工夫されている。ホボウストーブは缶の縁にも空気穴を形成する様に切り欠きを設け、燃料のの下に空洞が形成されるよう金網などを張って、より効率よくの熱を利用できるようになっていました。

=調理コンロタイプのロケットストーブ=

調理コンロタイプのロケットストーブ

ロケットストーブとは、断熱された排気管(ヒートライザー)と燃焼管(バーントンネル)を持ち、をくべて使用する燃焼機器のことである。煙突効果によって、を高温に熱して二次燃焼まで行なうことで、高効率の熱源となる。典型的なロケットストーブは、「J」字型に配置された燃焼管に断熱材を周囲に詰め込んだ簡易な構成で実現できる。設計図や応用例が広く公開されており、製作は比較的簡単です。このため、DIY技術を習熟していない人でも製作できます。また薪火の経験が少なくても比較的簡単に使用することができるのも特徴の一つです。

日本にロケットストーブを紹介したのは、広島県三次市で「共生庵」を開き社会活動をおこなっている荒川純太郎である。

2005年、アメリカ合衆国を旅行していた荒川が、オレゴン州で訪問した家庭にあったロケットストーブに興味を持ち、英語版の簡素なマニュアルを持ち帰ってストーブの自作を始めた。

荒川が作ったロケットストーブの話を聞いた石岡敬三が2011年に「現代農業」にロケットストーブの連載を始め、これにより日本での認知度が高まった。

ロケットストーブ(L字型)の概念図

ロケットストーブの燃焼過程 

★ロケットストーブは、薪を二次燃焼まで引き起こすことで燃焼効率を高かめている。燃焼過程を説明すると

・ロケットストーブは、その中央に上下方向に沿ったヒートライザー(熱上昇路)がある。

・ヒートライザー下部、水平方向にバーントンネル(燃焼路)があり、バーントンネルの入り口が焚口になっている。
・バーントンネルにくべられた薪が燃焼すると木ガスが発生する。
・発生した木ガスがヒートライザー内で二次燃焼を起こす。
・煙突効果が生じ、ヒートライザー内部に強い上昇気流が発生する。
・上昇気流によりバーントンネルに負圧が生じ、外気がバーントンネルに引き込まれる。

 ロケットストーブの長所

長所と短所
ロケットストーブの長所と短所は以下の通りである。
●燃焼効率が良い。
●薪ストーブでは比較的向かないとされる針葉樹や竹も十分使用できる。
●焚口が比較的小さいため、太い薪は使えない。そのため薪割りの手間が余分にかかる。燃焼   時は頻繁に薪を追加する必要がある。
●微妙な火力調整が難しい。調理用途につかう場合には一気に火力が必要な煮炊きに向く(弱火やトロ火は不可能)。
●タールやすす、煙の排出は少ない。ただし全く出ないというわけではないため、室内で使用する場合は換気が必要となる。
●バーントンネルやヒートライザーにステンレス管などの鋼管を用いると高温のため腐食が進みやすい。
●燃焼効率が良いとされるが、抽象的な話に終始し裏付けとなるデータが一切ない。
●既成品が無いので普通の薪ストーブならクリアしている環境基準に合致せず大気汚染をもたらす。
●熱効率のために横引きを長くした煙突を用いると横引きの部分にすすやタールが付着し、煙道火災を起こす可能性がある。
●構造が複雑なため内部の掃除ができない。

ロケットストーブの燃焼効率の高さは、燃焼路への空気の吸い込みを増やす点にある。通常、ストーブは煙突が高いほど空気の吸い込みが増えます。ストーブの経験則として「新しく作った煙突は吸い込みが悪い」というものがありますが、これは新しい煙突の場合、燃焼ガスが煙突内壁に触れて冷えてしまい圧力差が低下するためです。古い煙突は内壁がススで覆われてこれが保温効果を増すため吸い込みがよくなるのです。
すなわち、ロケットストーブとは「燃焼容器に断熱煙突を組み込んだ燃焼機器」であり、煙突を断熱材で囲うことにより煙突の内外の圧力差を大きくして、燃焼効率を高めたものです。この燃焼方式は、伝統的なペチカやメイソンリーストーブと同等のものなのです。

=ブリキ製薪ストーブ=

ブリキ製でを燃料とするストーブ。ストーブの上部は大きさの異なる鍋、釜、鉄瓶などがかけられるようになっており輪状になった蓋が取り外せるような構造になっています。

=簡易式かまど=

日本の自主防災組織にみられる簡易型のかまど
日本などの東洋諸国で伝統的に使用されるかまどの中にも、一部には可搬式とした物が見られる。大きさ自体はホボウストーブと同程度であるが、組み合わされる調理器具が釜にほぼ限定され、その大きさもそれなりに大きな物となってしまうためキャンプ用として用いられることは稀であるが、大人数への米飯の炊き出しが必要な災害時の避難施設や地域の催し物で広く利用されている。

=薪ストーブ=

調理に供されるクッカー

薪ストーブ(Wood-burning stove)は、薪を燃料とする暖房器具。主に輻射式、対流式の2つの暖房方式がありほとんどの製品はその両方の機能を併せ持っている。材質は鋳鉄製と鋼板製が多い。燃料の薪は石油、石炭のように枯渇してしまう地下資源ではないこと、燃焼時に放出されるCO2は木の成長によって回収されるため、カーボンニュートラルな暖房であるという利点があります。

薪ストーブは全てのポータブルストーブの中で最もシンプルかつ、最も古くから存在する木材由来の固形燃料を用いるストーブである。
日本では定置式薪ストーブとしてダルマストーブや囲炉裏、かまどが用いられ、可搬可能な物としては木炭を用いる火鉢や七輪などが存在するが、欧米ではトレッキング用の可搬型薪ストーブがポータブルストーブの普及当初に広く用いられた。これらのポータブル薪ストーブは単なる燃焼缶ではなく、という燃料が持つ熱容量を最大限に利用する為の特別な工夫がされていることが多かった。

扉の付いた鉄の箱に煙突が取り付けられた構造が薪ストーブの基本的な形態である。暖炉や焚火との違いは、前者が空気の出入りが開放的であるのに比し、薪ストーブは密閉的であることである。暖炉や焚火が燃焼に必要な空気の数十倍の量の空気を吸い込み排気するのに対し、薪ストーブは小さな空気の入り口を調整し燃焼に必要な空気を取り入れ、煙突からの排出も調整される。そのため取り入れられる空気は燃焼に必要な量の2〜3倍に制限される。前者がほぼ火そのものの輻射熱しか感じさせないのに対し、薪ストーブでは本体内の燃焼によって生じる熱を本体表面からの輻射熱や、本体周囲を対流する暖かい空気によっても部屋を暖めることができるのです。

このような薪ストーブはとてもシンプルで、灌木や廃材の多い場所で使用する場合に限れば燃料代が殆ど掛からない長所がある反面、幾つかの欠点も存在する。まず、燃焼の伝播が対流と燃料の配置の如何によってのみ左右され、燃焼機器の空気穴の配置が不適切であったり燃料の積み方に不具合があると片燃えや立ち消えを起こしてしまう可能性が高くなります。また液体燃料ストーブがバルブによって燃料供給量や火力を調整するのに対して、薪ストーブの投入量のみで火力を制御しなければならず、きめ細かな火力調整にはある程度の熟練を要します。その上、が燃焼する際にはある程度以上のすすが発生して、ストーブや調理器具が黒い煤で汚れてしまいます。燃え残りの灰などがゴミとして大量に発生することも問題となります。燃焼効率自体もは化学熱力学の観点上は煤や灰の内部にいくらかの熱エネルギーを保有し続けるために、いくらかの熱エネルギーは利用されないまま放棄されてしまいます。

バイオマス資源が豊富な北欧・北米では、薪ストーブで冬期の暖房・調理をまかなう家庭も多いです。最近の薪ストーブは、触媒や二次燃焼システムなどを用いて煙に残る化学エネルギーを燃焼させ、燃焼効率を高めている為に煤・煙による大気汚染は大幅に軽減されています。

バイオマス (biomass) とは生態学で、特定の時点においてある空間に存在する生物(bio-)の量を、物質の量(mass)として表現したものである。通常、質量あるいはエネルギー量で数値化する。日本語では生物体量、生物量の語が用いられる。植物生態学などの場合には現存量(standing crop)の語が使われることも多い。転じて生物由来の資源を指すこともある。バイオマスを用いた燃料は、バイオ燃料(biofuel)またはエコ燃料 (ecofuel) と呼ばれています。

「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」Wikipediaより引用させていただきました。

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